【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「今友人の家にいるのですが、一旦家に帰って直ぐに伊織さんのマンションに帰ります!」
私の言葉に、小早川さんは心底ほっとしたように胸を撫でおろした。
「そういえば…桃菜マンションを出て行ったって」
「ええ、真凛さんが出て行った同じ日に彼女も出て行きました。」
「桃菜…事情があって実家の家族とは上手くいっていなくて…実家には帰れないと思うんです。
どうしよう…。
仕事もずっと無断欠勤していて、もしかしたら何かあったのかも…」
「…本当に真凛さんは…あんな事があったのにまだ桃菜さんの心配をしてしまうのですね」
傍から見れば呆れられてしまうのかもしれない。 桃菜を知る周りからは、どうしてそこまで桃菜を気に掛けるかと言われる。
一連の出来事からして、もしかしたら桃菜は私の事が嫌いなのかもしれない。