【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「じゃあ…何故今になっておばあちゃんの前に…。
それに知っていると思うのですが母は痴呆になっていて
記憶もあやふやだと思うのです…」
「あらー、でも昨日おばあちゃん市ヶ谷さんの事はきちんと認識していたわ。
あんなおばあちゃんの顔見るの初めてだったもの~。」
そこにお茶を持ってきた母が口を挟む。 再びキッと睨みつけると、頬を膨らませて拗ねた素振りを見せる。 …どっちが親で娘か分かったもんじゃない。
「お母さんは黙っていてくれる?
私、今市ヶ谷さんとお話しているんだから」
「もぉ~ッ。真凛ちゃん冷たいの!どうしてこんなに薄情な娘になっちゃったんだか!
お母さんそんな意地悪ばかり言われたら悲しくなっちゃう…優しくしてよッ」
借金を抱え実家に帰ってきたとは思えない図々しさだ。我が母ながら呆れる。
はぁーと大きなため息をつくと、市ヶ谷さんはくすくすと小さく笑う。