【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
火葬場に行って骨になった祖母を見て、母は最期まで大声で泣き続けた。
私は母の代わりに来てくれた親類にお礼を言って、最後まで忙しくしていた。 しかし今は忙しくしている方が楽でもあった。余計な事を考えずに、感傷に浸らなくて済むから。
「真凛ちゃん、色々とご苦労様だったね」
全てが終えて、市ヶ谷さんが愁いの言葉を投げかけてくれた。
彼は忙しいにも関わらずお通夜にも告別式にも参列してくれたのだ。
「市ヶ谷さんも、来てくれてありがとうございます。 きっと祖母も市ヶ谷さんに見送られて幸せだったと思います。」
「うむ。 私もるり子とは決して長い時間だとはいえなかったけれど、再会できて本当に良かった…。
それにるり子と出会えた事でこうして真凛ちゃんとも会えたからね。
最後を見送れて…本当に良かった………
ふぅ…嫌だね。歳を取ると涙腺が緩くなってしまう…」
市ヶ谷さんの瞳には、うっすらと涙の膜が張っていた。
それを堪えるように眉間をぎゅっと握りしめた。