【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「しかし私の所に産まれた子供も女の子で、知っての通りるり子の所に産まれたのも真凛さんのお母様だったのです」

つまり…。市ヶ谷さんと祖母がしたもう一つの約束は果たされなかったというわけか。

「も~お残念。 もしも市ヶ谷さんの所にお生まれになったのが息子さんだったら、お母さん玉の輿に乗れたって事なのよね~。
ああ~すっごく残念で仕方がないわ…」

母は本当に残念そうにそう言った。 というかそろそろ黙っていて欲しい。
奔放な母の性格の事だ。 市ヶ谷さんの所に嫁いだとして、献身的な妻になるとは到底思えない。
祖母は娘が産まれて心底安心したに違いない。

「だけど…その話は無効ですよね?
結局市ヶ谷さんの所には娘さんしか産まれなかったし、おばあちゃんが産んだのだってお母さんだったわけで…」

そこまで話して嫌な予感が頭を過る。
母の話を聞く限りならば、市ヶ谷さんは母の借金を全て肩代わりしてくれるという。

世の中にそんなうまい話があるわけがないと思っていたが、彼の言う通り祖母と彼が結婚を約束した過去の恋人同士だったのならば…。

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