【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

伊織さんの顔はますます真っ赤になってしまって、恥ずかしそうに自分の枕に顔を埋めてしまった。
その姿が余りにも愛おしすぎて、彼の背中にぎゅっと抱き着く。

「私も愛しています。」

伊織さんの言葉は、結婚式の誓いの言葉よりずっと甘く、私の鼓膜を優しく揺らすんだ。

私だってあなたとの愛を、運命なんて簡単な言葉で片付けたくない。
市ヶ谷さんと祖母のラブストーリーをなぞるつもりもない。
これからは私とあなたで紡いでいくラブストーリーなのだから。

「ところで、」

くるりと体の向きを変えた伊織さんは、ベッドの上で私を押し倒した。
突然の行動に思わず身を固まらせる。

「一緒に寝たいというのはそういう事だろう。 真凛の願いならばなんでも叶えてあげたい。
これからは寝室も一緒にしよう。」

そう言うと、私を押し倒したまま唇に深い口づけを落とす。
そして彼の指先が私の体を優しくなぞる

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