【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「るり子にこんなそっくりの孫娘がいるのは知らなかった。
私が彼女に再会したのさえここ最近の話だったし
それでです。実は私の娘にも子供が居ます。私にとっては孫にあたる。 ちょうど真凛さんと同じ年頃の、男の子です」
そこまで話して、何故母が私に嫁に行って欲しいと言ったのかその意図が理解出来た。
「あの…それはつまり… 私が」
そこまで言いかけてにこりと笑った市ヶ谷さんは、私の手を両手でぎゅっと握りしめた。
「この間、孫息子である三織が結婚したばかりなんです。ちょうど真凛さんとは歳が五つ離れていて、私はぴったりだと思ったのだが」
「じゃ…じゃあ私と結婚するのは不可能でしょう?
市ヶ谷さんの孫息子さんは結婚なさっているんでしょう?」
「三織は将来社長としてボヤージュを継ぐ人間であるし、周りからも評判の良い好青年なんですよ。
私としては真凛さんの結婚相手として申し分ない男だと思っていたのだが…」
「けれど!!!その三織さんはもう既に結婚なさってるんでしょう?
嫌ですよ、私は略奪婚とか絶対に無理ですから」