【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「仲直り、上手くいって良かったです。これからも気難しい奴ではありますがよろしくお願いしますね」

「全部小早川さんのお陰です。
あ!祖母の葬儀の時も香典をおくってくださりありがとうございました」

「いえいえ、顔を出せなくて逆に申し訳なく思っていた所です。
伊織が忙しそうにしていたので、代わりに仕事をこなしていたので」

「小早川さんの心遣いが嬉しかったです」

「真凛さんもまだまだ大変でしょうが、余り気を落とさずに」

確かにまだまだ祖母がいなくなってしまった虚しさや悲しさは拭えない。
けれど伊織さんが毎日のように一緒に寝てくれて、一緒にいる時間を出来るだけ作ってくれている。
そういう些細な優しさがとても嬉しかったりするものだ。

「おい…、碧人!あんまり真凛に近づくんじゃねぇ」

「おっと…これは失礼しました」

わざとらしく私から離れる素振りを見せた小早川さんに対し、伊織さんはまだまだご機嫌斜めらしく飲んでいた水のグラスを乱暴にテーブルに置いた。

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