【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

強くそう主張すると、市ヶ谷さんは頬を緩めて笑い出してしまった。
そもそも結婚なんて考えた事なかったし、見ず知らずの人と結婚するわけにはいかない。
私の人生だ。誰かに振り回されるなんてもううんざりだ。

「実は三織の二つ下にもう一人孫息子がいます。
お菓子メーカーの会社の社長息子に産まれたというのにお菓子嫌いで、中々扱いずらい奴なんですが
悪い奴ではない。私的なお勧めは三織でしたが、弟である伊織もこの結婚話には了承してくれています。
ちょうど良い話なのではないかと…」

三織だか伊織だか知らないけれど、何故私の知らない所で話が勝手に進んでしまっているのだろう。
そして何故伊織という男も会った事のない私との結婚を了承しているのよ?!

「勿論お母様の借金の件も私が何とかしますし、真凛さんが大切に想っているるり子と過ごしたこのご実家の権利も渡しません。
恐縮ながら真凛さんと伊織が暮らすマンションも私が用意させて頂きました。
伊織も伊織で結婚後は真凛さんのお好きなように生活をして下さって構わないと言っています。
家に入るのでも、現在のお仕事を続けるのもご自由にして欲しいと言っています。 全く悪い条件ではないと思いますが?」

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