【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

珈琲を注文すると、伊織さんは私の注文したケーキセットをジッと見つめる。

本日のケーキセット。林檎を使った珍しいショートケーキだった。 その横には桃菜がサービスだといって出してくれたレアクッキー。

カフェ限定のケーキを食べると、思わず顔が綻んだ。 …美味しすぎる。

「美味しいか?」

「うん、すっごく。 伊織も一口食べる?」

「…いや、俺は甘い物は…」

「甘さ控えめで美味しいよ~。自分のお店のケーキなんだから一口くらい食べればいいのに」

そう言うと、「ん」と言って口を大きく開ける。
きょろきょろと周りを見回した後、フォークにすくったケーキを一かけら伊織さんの口の中へと運ぶ。

「甘……」

「そう~?甘さ控えめですっごく美味しいけどな~」

「それより真凛、来月は仕事先の休みは取れたのか?
いきなりキャンセルなんて駄目だからな」

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