【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「大丈夫です。 新婚旅行って言ったら快くOKしてくれたし
むしろ店長ったら、私の旦那さんが伊織さんだって知ってから私には頭が上がらないみたい。
そういう特別扱いみたいなの嫌なんだけどな」
「あんな店辞めちまえばいいのに…。何も働く事なんかないんだから」
私は現在も、ボヤージュの店舗でパートとして働いている。
辞めるつもりは当分ない。
「だって借金も返したいし」
「借金なんて今更チャラだろう。」
「そういうの、良くない!
それはどれだけ時間が掛かっても
絶対に私が返していくんだから」
「君はいつまで経っても真面目だなあ……。むしろじーさんにとって君の母親の借金なんて初めから痛くもかゆくもないんだから」
真面目な性格は中々変えれそうもない。
融通が利かない自分の性格には、ほとほとうんざりしているのだが…
それでもこの結婚に全てを委ねて、伊織さんに甘えるだけの生活を送りたくはない。