【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
自分の運命を誰かに決められるのは絶対に嫌だ。
けれど今までの私の人生ってそもそも誰かに振り回されっぱなしだったじゃないか。
母に振り回されて、桃菜に振り回されて、昨日だって蒼汰を取られたばかりだ。
平気な振りをしていたけれど、自分なりに蒼汰の事が好きだった。 けれど人の気持ちは縛れるものじゃないから物分かりの良い振りをして諦めた。
私は結局誰かに振り回される星の下に生まれてしまったのかもしれない。
「私は…会った事も話した事もない人とは結婚は出来ません…」
「勿論です。既に私の用意したマンションに伊織は暮らしていますので、実際一度会ってやって下さい。
少し変わり者な所があるけれど、悪い奴じゃあない。」
私の運命、私の知らない所で誰かに操作されているのかもしれない。 そうとしか思えないんだ。