【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

そおっと玄関の扉を開くと、これまた大理石で出来た広い玄関に圧倒される。
きちんと片付けられていて、二足の黒い皮靴が並べられている。

真っ直ぐに続く通路の先に恐らくリビングへ続くであろう扉が見える。 その扉がゆっくりと開いた瞬間、スーツを着た男性が顔を出す。

「待ってましたよ。会長から話は聞いております。リビングの方へどうぞ」

思わず見惚れてしまったのは、ダークブラウンのスーツに身を包んだ彼が想像以上にかっこいい人だったからだ。

黒い髪は短く切り揃えられていて、前髪が上がっている。 そこから見えるは端正な顔立ち。 クールそうな眼差しだけど、清潔感があって俳優さんみたいに顔の整った男性だ。

それにくわえ、身長が高く足が超長い。 スーツがすごく似合っている。
…こ、この人が伊織さん?!

絶対に結婚なんかしたくない!そう思っていた決心が揺らぐほど、彼は私のタイプの男性だった。

というか、タイプ云々の問題の前に清潔感があって整った顔のスタイルの良い男性に嫌な気持ちを持つ人はほぼいないと思う…。

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