【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

どんな不細工が来るのかと実は内心怯えていた。 人間は顔じゃないっていうのは分かっている。 けれど美しいに越した事はない。
私もしかして超ラッキー?そんな言葉が脳裏に浮かんだが、かき消すように首を横に振る。

通されたリビングは、立派なタワーマンションさながら素晴らしい物だった。

片付けられたリビングには大きなソファーとテーブル。 観葉植物と壁の中に取り付けられた大画面のテレビモニター。

素人の私から見ても分かる。高級品が並ぶ。 物は余り多くはないけれど、すっきりとしてお洒落な空間である。

開け広げられた広い窓からは都内の絶景を見渡せる。 つーかリビングだけで何帖あるのだろうか…。

「どうぞ、ソファーにおかけになって下さい。
珈琲と紅茶どちらがいいですか?」

驚き挙動不審になっている私に向かいくすりと小さく笑った彼は、リビングと繋がっているこれまた広いキッチンから顔を上げた。

笑うと目尻が下がって可愛らしい顔になる事にまた胸がきゅんとしてしまう。

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