【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
可愛らしいなんて今まで言われた事ない。
突然の言葉に心臓が飛び出しそうになって、変な汗が背中から噴き出した。
客観的に見ても、私と彼では釣り合いが取れなさすぎる。
普通の一般人で母の借金持ちの私と、大企業ボヤージュの御曹司である彼。
てっきりすごく変わり者で変な人か、目も充てられない程の不細工な男が現れると思っていた。 いやいや人間顔じゃないよ。けれど性格も紳士的で良さそうだ。
「すいません、自己紹介が遅くなって…。
蓮見 真凛と申します。 市ヶ谷さ……会長に話をうかがってここまでやってきました。
それにしてもすごいマンションですね。私、タワーマンションなんて来るのは初めてです。
フロントでも驚いてしまいました。どこの一流ホテルかと思って」
テンパって意味不明な事を喋りまくる私を前に、彼は柔らかい笑顔を浮かべる。
「こちらのマンションは会長からのプレゼントとなっております。 だから真凛さんのご自由に使ってくださって構わないんですよ。
お部屋の方も日当たりの良い部屋を用意させて頂きました。
真凛さんのご趣味が分からないので自分が家具なども一通り用意させて頂いたのですが、気に入らなければ買い替えてもらっても大丈夫です。
他にも必要な物があればこちらのカードをご自由にご使用なさって結構です」