【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「けれど……伊織さんは平気なのですか?
ご存じだとは思いますが私はごくごく普通の一般家庭で育ってきて実家がお金持ちなわけではありませんし
それに容姿だって普通で…とりわけ飛びぬけた何かがある人間ってわけではないです…」
「勿論。この話は了承済みです。 ただ…まあ…普通の夫婦生活って感じでもないかもしれませんけどね」
「へ?」
「いやいや、何でもありません。けれど真凛さんにとって決して悪い話ではないと思っています。
真凛さんが伊織を気に入るかは分かりませんが」
「いえ!私は伊織さんが気に入りました! って気に入りましたなんて失礼な話ですよね。上から目線で言ってしまいすいません。
けれど伊織さんは素敵な男性だなあって一目会った瞬間に思いました。
むしろこっちが不安になるというか…」
私の言葉に目の前に居る伊織さんは、不思議そうに目を瞬かせた。
「え?」
「え?」
「真凛さん、もしかして何かを勘違いされているとか思いますが」