【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「あの…私昨日すごぉーく失礼な事言いましたよね?」

その問いかけに彼は再び不敵な笑みを浮かべるだけだった。

「気にするなって言っている。 それより朝ご飯はどうする?何か食べたい物があるか?」

朝ご飯、とワードを思い浮かべるだけでうっぷと吐き気がこみ上げてきそうになる。
それを察した彼は「朝ごはんは駄目そうだな」と言った。

何故に朝ご飯なのだろう。 名ばかりの結婚をして一ヵ月、私と伊織さんは一度だって食事を一緒に取ったりはしていない。

お腹空いているのかな? 首を傾げると彼はうーんと考え込んだ後に一つの提案をした。

「夜位には具合いも良くなっているだろう。
今から少しだけ会社の方に行ってくるけど、夕方までには帰る。
一緒に夕ご飯を食べよう。何か食べたい物はあるか? リクエストがあれば帰りに買って来る」

疑問は降り積もっていくばかりである。
この一ヵ月、一度だって私を気に掛けようとしなかった男だ。
突然の豹変に首を傾げるばかりだ。

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