【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「…伊織さんの収入に頼るつもりはありません」
「結婚をして、夫婦になったのに?
俺は君を養っているのだから妻が夫に頼るのは当然だと思うのだが?」
「そういう事じゃなくって…!
私は別に伊織さんに養ってもらうためだけに婚姻関係を結んだわけじゃないですし…。
それに欲しい物は自分の収入で買いたいと思っているので
それにカードは使った事がないから怖いんです。 自分がどれくらい使ったか分からないですし」
私の言葉に伊織さんはハァーと深いため息をついて、頭を抱えた。
「現金の方がいいというわけか。 じゃあ銀行に寄ってお金をおろしてこよう。 俺は現金は持たない主義なんでな」
「だからー!そういう事を言っているわけじゃありません!」
「じゃあ、何が言いたいんだよ。 全く君の言う事は理解出来ない」
何故か険悪な空気になってしまった。
私はただ自分の収入を得たかったし、外に働きにも出たかった。 たとえ正社員としてじゃなくてもいい。アルバイトでもパートでもいいんだ。
物欲がある方ではなかったけれど、例えば伊織さんへ何かプレゼントをしたいと思った時に伊織さんのお金で買ってしまったら意味がないではないか。