虐げられて追い出された私、実は最強の聖女でした～聖獣と冥王と旅に出るので、家には戻りません～

「ごめんなさい、お母様」
　顔をうつむけて小さな声で謝るツェツィーリアに、女はさらに憤る。
「誰が口をきいていいと言った。お黙り！」
　またも鞭がびゅんとうなり、ツェツィーリアの背中に鋭い痛みが走った。いつものように、彼女はただただ体を丸めてやり過ごすが、この痛苦になれることはない。
　それでも、彼女は耐えた。
　ツェツィーリアは、母ウルリーケが自分という存在のせいで苦しんでいることを知っていた。そして、彼女に憐憫の情すら向けていたが、そのことがウルリーケの知るところになったら、きっと鞭打ちだけでは済まないだろう。