虐げられて追い出された私、実は最強の聖女でした~聖獣と冥王と旅に出るので、家には戻りません~
ウルリーケは肩で息をするほど激しくツェツィーリアを叩くと、鞭を床に手放した。彼女のそばにいる年かさの侍女がわずかに血のついた鞭を拾い、ふたりはツェツィーリアを閉じ込めている部屋を出てドアの鍵を閉める。この侍女はウルリーケが鬱憤晴らしに地下室に来る際に必ず連れている女性だが、初めて会ってから十二年以上経った今も、ツェツィーリアは彼女の名前をいまだに知らない。
彼女たちが地下室の石でできた廊下を歩き、地上につながる階段前のドアを施錠する音が耳に入るまで、ツェツィーリアは身じろぎせずに床に突っ伏していた。
「……もう大丈夫かしら?」
彼女は激しい痛みに顔をゆがめながら、おもむろに床に座ると、首から下げている革に通した指輪を取り出した。そして赤色の石がはめ込まれた指輪を握りしめて願う。
「背中の傷を治してちょうだい」
彼女たちが地下室の石でできた廊下を歩き、地上につながる階段前のドアを施錠する音が耳に入るまで、ツェツィーリアは身じろぎせずに床に突っ伏していた。
「……もう大丈夫かしら?」
彼女は激しい痛みに顔をゆがめながら、おもむろに床に座ると、首から下げている革に通した指輪を取り出した。そして赤色の石がはめ込まれた指輪を握りしめて願う。
「背中の傷を治してちょうだい」