虐げられて追い出された私、実は最強の聖女でした~聖獣と冥王と旅に出るので、家には戻りません~
 すると、指輪が光を放ちツェツィーリアを包み込み、痛みはすぐに失せ、傷も一瞬にして治った。

 ツェツィーリアが閉じ込められている部屋はヴェニゼロス公爵邸の地下にある一室で、過去、問題のある公爵家の者を監禁するためにつくられた部屋だ。長期間、多くは死ぬまで監禁されていたため、ひと通りの設備が揃っている。
 彼女はヴェニゼロス公爵家の次女ではあるが、不義の子だという理由でここに入れられていた。
 背中についた血を流すために浴室でシャワーを浴びたツェツィーリアは、粗末ではあるが清潔な服に着替えて、ベッドに入る。
「セレネが会いに来てくれるまで、もう少し寝ましょう」
 そうつぶやくと、まだ昼過ぎではあるが、幸せそうな顔で眠りについた。
 長らくツェツィーリアは昼夜逆転の生活をしているが、日がいっさい差さない地下室において彼女が夜を知ることができるのには理由があった。
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