左手の薬指に、指輪をはめて。
彼はたたんっ、とわたしの前に来て、ニカッと笑った。
「じゃーん!来栖陽愛でしたー!」
「誰だと思ったー?結束さん?」
手の主は、やっぱりこの人だった。
うちの生徒会長で、同じクラスの、来栖陽愛くん。
……実は、私の片思いの相手でもある。
陽愛くんはそう言って、とてもキレイな顔でわたしの顔をのぞきこむ。
「…ぅ……か、からかわないで…ょ…ぅ」
「えー、ごめんって、大丈夫?」
陽愛くんはそう言いながら頭をポンポンと撫でてきた。