We are...
2
満月の夜―
月が大きく明るい夜は、部屋中の電気を落として、窓辺で缶ビールを飲むのがきまりだった。
月明かりだけが自分を照らしてくれる。
部屋の外に出れば、何かしらのネオンが邪魔してしまうけど。部屋の中だけは、暗闇に包まれることが許される。
暗闇に抱かれ目を閉じる。
オレの意識は月明かりを道しるべに、意識を旅に出そう。
そうすれば、カナの気配を感じ取れるような気がした。
くだらない願掛けみたいなもの。
カナと過ごした場所をオレも離れた。
もう一度会いたい。
そして4年前、なぜ去ったのか聞きたかった。
日中の雨が嘘のように晴れ渡って、今日もまんまるの月がオレに会いにきた。
カナと離れた日々が、今日の雨模様のみたいに、パッと去ればいいのに。
月みたいに素知らぬ顔で、いつでもオレの前に現れればよい。
カナ。
奏絵―。
オレの半身。
一人じゃ生きていくのは辛い。
あの日みたいな心地よいまどろみに襲われ目を閉じた。
このまどろみからさめたら、オレは何を奪われるのだろうか。
怖くて眠れない。
意識が途切れた。