優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第25話 引き離された二人
書類の改竄事件以来、会社でも家でも私への風当たりは強くなり、犯人が判明するまではセキュリティ上、壱哉さんの側に近寄ることも連絡も禁じられ、秘書室から倉庫に異動になった。

「あんたが水和子お姉ちゃんに嫉妬って。嫉妬すら、おこがましいわよ」

地方ロケから帰ってきた緋瞳お姉ちゃんからはそう言われるし、両親は呆れかえり、水和子お姉ちゃんからは無視された。

「私はやってない」

そう言っても『罪を認めない性格の悪い妹』にされてしまい、取り合ってくれなかった。
私の言葉なんて誰一人聞いてはいなくて、優秀で美人な水和子お姉ちゃんの『日奈子がしたこと』という言葉のほうが信ぴょう性があるみたいで相手にもされない。
罪を認めないということで壱哉さんだけでなく、杏美(あずみ)ちゃんとも会えなくなった今の私は孤立状態で味方をしてくれる人は誰もいなかった。

「いってきます……」

朝も壱哉さんと一緒に通勤できるわけがなく、駅に向かうために一人で家を出た。
逆に水和子お姉ちゃんには壱哉さんの婚約者として黒塗りの車が迎えにきていた。
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