優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
本当は大丈夫なんかじゃなかったけど、今、壱哉さんに会えたことで辛かったことが全部、吹き飛んでしまった。
自分の単純さに呆れる。
鳥達がいるエリアには夜行性のコウモリやフクロウが起きていて、動いている珍しい姿を見ることができた。

「夜行性の動物って、夜に動きますもんね」

「おもしろいな」

「はい」

夜の動物園は不思議で動物達が昼間よりも活発に動き回っていた。
歩いていると、突然キリンが近寄ってきて、顔を寄せた。

「ひ、ひえっ!!!」

「日奈子。エサをあげたら?」

壱哉さんが笑いながら、ほら、とエサの入った容器をくれた。
な、なるほど、エサをくれると思って近寄ってきたのね……。
緑の葉をあげるとキリンはもぐもぐと口の中でなんども葉を噛んでいた。
遠くから見ると眠そうな顔をしている動物だなと思っていたけど、間近で見ると迫力がある。
ライオンとトラは王様みたいに歩いていて、柵越しにエサをあげれる場所があった。
肉がなまなましい……。
やっぱり肉食なんだ……。

「エサあるぞ」

「いえっっっ!!そ、それはいいです」

係員さんもいて、子供もあげていたけど、私は首を横に振った。

「そうか」
< 119 / 302 >

この作品をシェア

pagetop