優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「一緒に暮らそう。日奈子」

「……で、でも、会ったらだめって言われてて」

「それも終わる」

そう言った壱哉さんは笑っていたけど、目は鋭い。
まるで、獰猛(どうもう)な獣の様に。

「だから、大丈夫」

そう言って頬をなでた壱哉さんが私に向けた目は優しかったけれど―――きっと獲物には容赦がない。
トラやライオンを見た後のせいか、そんな気がしてならなかった。
< 121 / 302 >

この作品をシェア

pagetop