優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「そ、それは。あの、水和子お姉ちゃんかもしれないって薄々気づいていたので」

大きな手の平が私の頬を撫でた。

「そうか。今は日奈子に謝ったが、もしかすると家に帰れば、仕返しされるかもしれない」

「えっ!?」

「このまま、家にいたら危険だ。わかっただろう?相手は手段を選ばない」

お姉ちゃんがまた私に嫌がらせをするの?
確かに私は壱哉さんの相手として相応しくなのは自分でもわかっているけど。
そこまで憎んでいるの?

「そんな顔をしなくていい。今園が証拠をすべて、日奈子の両親にも見せてくれる。俺からも説明をするつもりだ」

「はい……」

「日奈子のことは俺が守るから」

そう壱哉さんは言ってくれたけど、なぜか私は捕らえられた獲物のような気分がしてならなかった。

「今日から、暮らす場所に案内しよう」

優しい声に逆らえず、私はうなずいた。
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