優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第34話 焦る気持ち
「話になりません!」
「本気でやっていらっしゃるの?」
「今までなにをなさってらしたの?」
―――全滅だった。
私のために壱哉さんが紹介してくれた習い事の先生達だったけど、お茶は畳の上で転んで、お花はセンスがないと言われ、琴は基礎をやっただけで音がおかしいと通っている小学生の子供達から笑われた。
トドメは―――
「本当に壱哉さんが選んだ相手なの?」
と、他の人達から囁かれたことだ。
しょんぼりとしながら、庭のベンチに座っていると壱哉さんがやってきた。
「日奈子。無理をしなくてもいい」
「そうはいきません」
泣きそうになってうつむいた。
隣に壱哉さんが座った。
「誰に何を言われたか、全部言って」
手のひらが頬をゆっくりとなでて、私に囁いた。
目が笑ってない。
「い、言えないです」
なぜか、ひどいことを言われたのは私なのに思わず、言うのを拒否していた。
声は優しいのになぜか怖くて。
「私がもっとちゃんとできれば、言われないことですから!」
「日奈子が言われるのは俺のせいでもある」
壱哉さんと恋人になれば、嫉妬されているのはわかっていた。