優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「知ってるわよ。転んでいたのをお兄様に助けてもらったんでしょ?」

「えっ……?転んでたの知ってたの?」

私は固まって杏美ちゃんを見ると、冷ややかな目で私を見ていた。

「私が助けるより、お兄様に助けられた方が嬉しいでしょ?初日からこないでくれたら、会社もクビにできたのにね」

杏美ちゃんは私が会社にこないほうがよかったみたいだった。

「お兄様もよけいなことをしたものだわ」

ぞろぞろと取り巻きを引き連れて杏美ちゃんは去って行った。
歓迎されてないのはわかっていたけど、面と向かって言われるとやっぱりショックだった。
コネ入社だから、そう言われてもしかたない。
しょんぼりしながら、バッグを手にした。
結局、誰にも声をかけれずに終わり、一人で会社を出て、電車に乗ると緋瞳(ひとみ)お姉ちゃんが表紙になっている雑誌の広告が目に入った。

「女優の緋瞳って綺麗だよね!」

「綺麗でスタイルがよくて、アクションもできるとか最強よね」

そう。緋瞳お姉ちゃんは美人な上に運動神経もいい。
身内が褒められて嬉しいはずなのなのに肩身が狭い気分になる。
家までの道をとぼとぼ歩いていると、背後から声をかけられた。
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