優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
お風呂に入って、しみてやっと気づくパターンが多い私としてはこんなの怪我のうちにも入らない。

「これくらい平気です。追いかけようとしたら、転んで。いつものことですから」

力なく笑って誤魔化すと、壱哉さんが膝に口づけた。

「壱哉さん!汚いですからっ!」

怪我をした膝に唇があてられ、顔を赤らめると壱哉さんが悪い顔をして言った。

「元気でるかと思って」

「は、恥ずかしいだけです!」

「そうか?」

「そうですっ」

慌てふためき、立ち上がり、ずさっっと距離をとると壱哉さんは苦笑した。

「厳しいな」

「厳しくないです!私、真剣に悩んでいるんですからっ!」

壱哉さんはしょんぼりしていたけど、今はいちゃいちゃするような気分になれないよ!
杏美ちゃんと喧嘩してしまった今は―――
< 151 / 302 >

この作品をシェア

pagetop