優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第36話 招待
喧嘩別れしてから、杏美(あずみ)ちゃんは口をきいてくれなくなった。
電話も出てくれないし、周りには取り巻きの華やかな女子社員達がいて、私は近寄れずにいた。
話しかけようとしても、ガードされてうまくいかない。
仕事の合間にも秘書室に行き、本人に会おうとはしてるんだけど、それも断られてしまう。

「あの、尾鷹(おだか)さんをお願いします」

「今から常務と挨拶まわりがありますから」

今日も他の人が出てきて、冷たく断られてしまった。
謝るにも近寄れないんじゃ、仲直りの道のりは厳しいよ。
しょんぼりしていると、取り巻きの一人が私に近寄ってきて、そっと耳打ちした。

「杏美さん、今日、仕事が終わったら会社の前の広場で待っていて欲しいそうよ」

「本当ですか!」

「時計の下でって」

「わかりました!」

会社前には広場があり、真ん中あたりに時計がある。

「よかったわね」

「はい!」

毎日通っていたから、会ってくれる気になったのかな。
しつこいって思ってそうだけど、やっと謝れる。
そう思いながら、廊下を軽い足取りで歩いていると、白い封筒が落ちていた。

「落とし物?」
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