優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
無表情で壱哉さんは部屋に入ってきたおじ様を見た。

「今週の日曜日に杏美の結婚の祝いを兼ねたパーティーをする予定だ。お前も出なさい」

「仕事がありますので」

「親戚が集まる場だ。日奈子ちゃんを紹介しなくていいのか?」

「それは」

「いい機会だろう。日奈子ちゃんも挨拶くらいはしたほうがいい」

壱哉さんは険しい顔をしていた。

「私が挨拶ですか……?」

「そうだ。壱哉と付き合っているというのなら、親戚達の前できちんと言った方がいいんじゃないか。壱哉、違うか?」

「日奈子に尾鷹の親戚付き合いをさせるつもりはない」

「それは愛人にしておくということか?」

あ、愛人!?
私が……。愛人?
驚いて壱哉さんを見るとおじ様を睨みつけていた。

「そんなつもりがないというのなら、きちんと皆に説明をしなさい」

おじ様の言うことはもっともに聞こえた。

「親戚の前に出せない女性では尾鷹の嫁として認められない」

「わかりました。私、きちんと挨拶します!」

壱哉さんが困っているような気がして、私は自分から言った。
挨拶くらいなら私にだってできるはず。

「日奈子」
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