優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
安島(あじま)さんがシャンパングラスを片手に持ち、すでに酔っているのか、顔が赤い。
サッと壱哉さんが自分の背中の後ろに私を隠すと安島さんが嫌な顔をした。

「なにもしないさ。そんな子供に」

こっ、子供―――!!
なんて失礼な!と思いながら、壱哉さんの背中越しに安島さんを見たけれど、向こうは私のことなんか目の端にすら入っていなかった。
安島さんは壱哉さんに対して、ライバル意識を持っているらしく、壱哉さんを見る目が怖かった。

「お姉さんの方が美人だから、好みだけどね。壱哉の趣味はわからないな」

「わからなくて結構」

冷たく言われて安島さんは苦笑した。

「完璧なお前にもそんな弱点があるとは。人間らしいところがあるんだな」

弱点って私のこと?………確かに強みにはならないけど、そんなハッキリ言わなくても。
軽くショックを受けていると、さっきまでチラチラと私を見ていた視線を感じない。
みんなは安島さんと壱哉さんを見ていて、私どころじゃないみたいだった。
てっきり、私の値踏みになるのかと怯えていたのに違うみたい?
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