優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「あれ?日奈子ちゃん?」

渚生(しょう)君」

振り返った先にはメガネをかけて、だぶっとしたパーカーにカーゴパンツをはいたお隣のお兄さん、渚生君がいた。
壱哉さんと水和子お姉ちゃんの同級生で壱哉さんと仲がいい。
壱哉さんとはまた違ったタイプのイケメンで二人が並ぶと二人組アイドルみたいに見えた。
実際、アイドルみたいに人気あったけど。
渚生君は小学生の時の舞台がキッカケで芸能事務所にスカウトされ、今では人気俳優さんでラフな服装をしていてもキラキラオーラを隠しきれていない。
ううっ!なんて、まぶしい!
そんな人と一緒に並んで帰ることになってしまったけど、家がお隣だから離れて歩くのもおかしいし。
並んで歩いたところで恋人同士には見えないから、週刊誌に載る心配は一切ない。
これがお姉ちゃん達なら、間違いなく撮られていただろうなあ。

「今日から仕事?」

「そうなんです。水和子お姉ちゃんが頼んでくれて、なんとか尾鷹(おだか)商事に入社できたおかげで無職にならずにすんで」

「壱哉と働くんだって?」

「まさか!壱哉さんは雲の上のような存在です。専務だし」
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