優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません！

第３８話 お休み

熱をだし、三日も熱は下がらず、壱哉さんは心配して尾鷹のかかりつけのお医者様を呼び、看てもらったけれど、普通の風邪で苦い粉薬を処方されただけだった。

「疲れが出たんでしょう」

そうお医者様から言われると、壱哉さんからはおとなしく寝ているよう出社するまで何度も言い続け、家政婦さんにまで頼んでいった。
そのせいで、熱が下がっても家からどころか、寝室から出ただけで家政婦さんがとんでくる始末だった。

「日奈子さん、いけません！私が壱哉さんに叱られてしまいます」
「でも、退屈で……」

やることがなさすぎて、今園さんが置いていったマナーの本を読みながら、一人で練習していると家政婦さんに見つかってしまい、叱られた。
畳の縁を踏まない練習をやってたのが悪かったのか―――

「コソドロみたいでしたよ」

という、ありがたくない感想までもらって軽く気をくじかれた。

「早くベッドへ戻ってくださいっ！」

背中を押され、渋々寝室に戻されかけた所にインターホンが鳴った。

「誰かお客様みたいよ！」

「私がでます！」