優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
競い合うように玄関に駆けつけ、家政婦さんが勝利をおさめると、こっちを見てドヤ顔でドアを開けた。
く、くやしい。
「何してるの?」
「あ、杏美お嬢様」
慌てて家政婦さんは居ずまいをただした。
私はというと、ドアを開ける競争に敗れ、廊下に転がっていた。
「ちょっとね」
杏美ちゃんのひきつった顔に私は笑って誤魔化すしかなかった―――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「今日、お兄様から熱が下がったと聞いたから、お見舞いにきたのよ。雨にうたれたんですって?風邪もひくわよね。それで、具合はどうなのかしら?よくなったの?」
「わー、プリンだ。瓶に入ってる。美味しそう」
これはデパ地下に売っている有名な瓶に入ったプリン。
口どけが最高なんだけど、一つ300円以上はするお高いプリンのはず。
杏美ちゃん、なんて優しい……。
「ちょっと聞いてるのっ!?」
「あっ!ご、ごめん。なに?」
「もういいわ」
「プリン食べていい?」
「いいわよ」
杏美ちゃんは諦めたようにがっくりと肩を落とした。
く、くやしい。
「何してるの?」
「あ、杏美お嬢様」
慌てて家政婦さんは居ずまいをただした。
私はというと、ドアを開ける競争に敗れ、廊下に転がっていた。
「ちょっとね」
杏美ちゃんのひきつった顔に私は笑って誤魔化すしかなかった―――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「今日、お兄様から熱が下がったと聞いたから、お見舞いにきたのよ。雨にうたれたんですって?風邪もひくわよね。それで、具合はどうなのかしら?よくなったの?」
「わー、プリンだ。瓶に入ってる。美味しそう」
これはデパ地下に売っている有名な瓶に入ったプリン。
口どけが最高なんだけど、一つ300円以上はするお高いプリンのはず。
杏美ちゃん、なんて優しい……。
「ちょっと聞いてるのっ!?」
「あっ!ご、ごめん。なに?」
「もういいわ」
「プリン食べていい?」
「いいわよ」
杏美ちゃんは諦めたようにがっくりと肩を落とした。