優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません！

「ドン子の招待状、出席だけといいわよね？」

「もちろん！私、杏美ちゃんのウェディングドレス、楽しみにしてるから！」

「そう」

杏美ちゃんは笑って言った。

「じゃあ、ドン子にウェディングドレス姿を見せてあげないとね」

「みたい！」

にこっと笑ってうなずくと、杏美ちゃんも笑っていた。

「じゃあ、元気そうな姿も見たし、帰るわね。結婚式に会いましょう」

「あれ、会社は？」

「もう行ってないの。結婚準備があるから」

「そっかあ。大変だね」

荷物たくさんありそうだし、引っ越すだけでも時間がかかりそうだよね。
私なんて、身一つで来てしまったけどよかったのだろうかと今さらながらに気づいてしまった。
これが鈍いって言われるとこなのかもしれない……これだけじゃないか……。

「そうよ。なにかと大変なの」

杏美ちゃんを送ろうと、一緒に玄関から出ると黒塗りの車の迎えがきていた。
いつもの杏美ちゃん付きの運転手さん、貴戸(きど)さんが車の外で待っていた。
私を見ると貴戸さんが深くお辞儀したので、私も会釈した。
杏美ちゃんが結婚すると貴戸さんは誰の運転手さんになるんだろう。
思えば、よく車に乗せてもらった。