優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
本当は結婚したくないのに。

「日奈子ちゃん。新婦の控え室行ってドレス姿を見るんじゃなかった?」

「あ!そうでした」

杏美ちゃんから時間を指定されていて、時計を見るともういい時間だった。

「一緒に行くよ」

渚生君は護衛のようにそばにいて、控え室までくると廊下で待機した。

「控え室前で待ってるよ」

「はい」

ドアをノックすると杏美ちゃんは誰がくるのか、もうわかっていたらしく

「日奈子」

私の名前をドア向こうで呼んだ。

「入るね」

開けるとウェディングドレスを着た杏美ちゃんが待っていた。

「うわあ。綺麗」

細かい刺繍が見事でキラキラしたビジューがこれでもかというくらいにつけられたゴージャスなドレスだった。

「当然よ」

「杏美ちゃん、これ、私からのプレゼント」

「なに?」

ウェディングリースを渡した。

「日奈子が作ったの?」

「うん。あんまり、上手じゃないんだけど、ウェディングリースにはね、『永遠に幸せでいられますように』って意味が込められてるの。杏美ちゃんに幸せになってほしいから」

「そう、ありがとう」

リースを見つめ、杏美ちゃんは一瞬泣きそうな顔をした。
< 168 / 302 >

この作品をシェア

pagetop