優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
尾鷹と安島の仲は決定的に崩壊してしまったのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「壱哉さん、大丈夫かな」
先に家に帰るように言われ、渚生君が送ってくれたけど、夜遅くになっても壱哉さんは帰ってこなかった。
杏美ちゃんがくれたテディベアをトラとライオンのぬいぐるみの横に並べた。
落ち着かず、うろうろしていると車の音がして玄関のドアが開いた。
「壱哉さん!」
「日奈子」
壱哉さんは疲れた顔で私を見ると、手を伸ばし抱き締めた。
「あ、あの?杏美ちゃんは?」
「運転手の貴戸と駆け落ちしたらしい。手紙が部屋に置いてあった。行き先は書いてなかった」
「貴戸さんと駆け落ちを!?」
深々と頭を下げていた貴戸さんの姿を思い出した。
あれは何か意味があったのだろうか。
「もう杏美は戻らない」
つまり、尾鷹の家を捨てた―――最後の最後で杏美ちゃんは決断して自分が幸せになる方をとったのだ。
安島さんに悪いと思いながらも、私はそれが嬉しかった。
「杏美ちゃん、きっと幸せになりますよ。大丈夫です」
「そうだな」
壱哉さんは目を閉じた。
「これを理由に安島は裏切る」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「壱哉さん、大丈夫かな」
先に家に帰るように言われ、渚生君が送ってくれたけど、夜遅くになっても壱哉さんは帰ってこなかった。
杏美ちゃんがくれたテディベアをトラとライオンのぬいぐるみの横に並べた。
落ち着かず、うろうろしていると車の音がして玄関のドアが開いた。
「壱哉さん!」
「日奈子」
壱哉さんは疲れた顔で私を見ると、手を伸ばし抱き締めた。
「あ、あの?杏美ちゃんは?」
「運転手の貴戸と駆け落ちしたらしい。手紙が部屋に置いてあった。行き先は書いてなかった」
「貴戸さんと駆け落ちを!?」
深々と頭を下げていた貴戸さんの姿を思い出した。
あれは何か意味があったのだろうか。
「もう杏美は戻らない」
つまり、尾鷹の家を捨てた―――最後の最後で杏美ちゃんは決断して自分が幸せになる方をとったのだ。
安島さんに悪いと思いながらも、私はそれが嬉しかった。
「杏美ちゃん、きっと幸せになりますよ。大丈夫です」
「そうだな」
壱哉さんは目を閉じた。
「これを理由に安島は裏切る」