優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
こっちの話が聞こえているらしく、日奈子も目に見えて狼狽えていた。
日奈子がやった二日間より私が一日でとる契約の数を上回れば、いいだけ。
その失敗を理由に辞めてもらうわ。
お客もいないガラガラのフェアで惨めに二日間を終えなさいよ。
壱哉にもこれで、私と日奈子の差がわかるだろうし、日奈子を選んだことを悔やむでしょ。

「部長。本社にいたいなら、わかりますよね?」

フロアが静まり返った。

「私の手伝いをする人はいる?手伝ってくれたら、安島社長に名前を伝えてもいいわ」

私の手伝いはすぐに集まった。
日奈子は何も言えずにぼんやりとこちらを見ていた。
あれじゃあね。
思わず、妹の間抜けな顔を見て笑ってしまった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「後は週刊誌に匿名の電話と―――それだけじゃ、弱いわね」

なにか渚生と日奈子が決定的に付き合っているような証拠がないと。
秘書室にある私の机に行くと安島さんから高そうなカードが届いていた。
『ホテルディナーPM19:30安島』
マメな男ね。
安島さんは女好きらしく、スケジュールは女性との約束でギッシリ詰まっていた。
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