優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「カード―――使えそうね」

これなら、簡単に二人を呼び寄せることができそうだった。
ホテルで日奈子と渚生が会っているのを週刊誌で見た壱哉はどう思うかしら。
尾鷹の家だって、スキャンダルになるような人間を壱哉の結婚相手に許すわけがない。

「ホテルディナーの手配をして」

秘書の一人に頼んだ。

「個人的なものは経費に認められません」

「安島社長がいいって言ってたのよ。できないの?」

「でも」

「いいわ。自分でやるわ」

ホテルディナーを予約し、カードを渚生に送った。
日奈子の分は広報部の席に届けないとね。
壱哉に見つからないように。

「いけない。急がないと安島社長がホテルで待ってるわね」

ディナーをしながら、楽しい話ができそうね。
思わず、笑みがこぼれた。
< 199 / 302 >

この作品をシェア

pagetop