優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
今日は仕事が終わったら今園(いまぞの)さんからマナーの勉強をする予定だったから、メールをいれておいた。
イタリア食材のフェアのことで頭がいっぱいで、そのカードがおかしいことなんて少しも気づかなかった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ここ?」

来たことない場所だったけれど、高級ホテルには間違いない。
ホテル入り口には回転タイプのドアが設置されており、ぐるぐる回っていた、

「これ、苦手なのに」

入るタイミングがつかめないっていうか。
もたもたしていると、ホテルのスタッフが駆けつけて、ドアに入るタイミングを教えてくれた。

「す、すみません」

やっとホテルに入ることができると、待ち合わせ場所のティーラウンジを探した。

「ホテルロビーの……」

きょろきょろと待ち合わせ場所を見ると、壱哉さんの姿はなかった。

「日奈子ちゃん」

遠くから渚生(しょう)君の声がして、振り返った。
どうして渚生君が?
近寄ろうとした瞬間、横から颯爽と現れた綺麗な女の人がいた。

「い、今園さん!?」
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