優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
イタリア食材のフェアの企画書を何度も書き直しさせられていた。
なんて情けない。
頑張ってはみているものの、会社から出る予算が少なくて食材すらまともに集められていなかった。
水和子(みわこ)お姉ちゃんが企画したものより、ずっと金額は少ないのに通らない。
予算のほとんどを水和子お姉ちゃんの方に持っていってしまい、私には使わせないつもりのようだった。

「どうしよう。これじゃ、食材も買えないよ」

イタリアからの輸入食材―――そう、トマト缶とか?
缶詰があれば、まだ。

「そうだっ!」

ガッターンと立ち上がった瞬間、椅子を倒してしまい、視線を浴びた。
すみません、すみませんっ!と頭をさげながら、椅子を直して、倉庫へ向かった。
暇そうに座っていた元広報部の社員の人達が倉庫にやってきた私を見た。

「どうしたんですか?日奈子さん」

「あ、あのっ、在庫の缶詰って、結構ありましたよね?」

「日奈子さんが大量に片付けていたやつですよね。ありますよ。缶詰とパスタ」

「それを私、今度のイタリア食材のフェアに使おうと思って」

「フェアをまかされたんですか!?」

「たぶん、仕返しで」
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