優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
倉庫にいた人達はやっぱりとつぶやいた。

呑海(どんみ)先輩は高い食材を使うみたいで、ここにあるのは安い商品だから、使いたくないって言ってましたよ」

「日奈子さん、よかったら、私達、協力します!」

そう言ってくれたので、さっそく自分が書いた企画書を見せた。

「細かい所まで書いてあって、わかりやすいです」

感心されて、ちょっと照れながら、うなずいた。

「そうかな」

「おうちイタリアンですか」

「そうなの。デパートとか、スーパーの小売店をターゲットにしようと思って。商品にシェフが考案したレシピカードもつけて売り出したら、どうかなって思ったの」

「呑海先輩は高級レストランやホテル狙いですよ」

「前から、あの業界に売り込むのがうまいですからね」

「派手で華やかなものを好む人達にモデルや芸能人を使って契約をとるんです」

「商品はいつも二の次で」

山積みの缶詰とパスタを眺めた。
これだけあれば、当日、見映えも悪くない。

「会場のセットは任せてください」

「慣れてますから」

「仕事ができてよかったわよね」

「みなさん、ありがとうございます」

何度もお礼を言って、倉庫を出た。
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