優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「えっ!?で、でも尾鷹のおじ様やおば様がなんて言うか」
壱哉さんは指輪の包みを開けて、そっと私の手をとると指輪をはめてくれた。
「社長の椅子を追われてから二人は尾鷹の家のことも会社のことも口出しできる立場にない。杏美の件もあって、会長である祖父に叱られ、二人は今、本宅に住むことができなくなった」
「会長は杏美ちゃんの結婚には反対だったんですね」
「そうだ。安島に嫁がせることを祖父母が反対していたのに両親は杏美に言い聞かせて、断れないようにしていたらしい」
「そんな」
「父は杏美が安島と結婚しなかったら、自分が社長でいられなくなるとわかっていたんだろうな」
壱哉さんは少し悲しい顔をしていた。
「杏美は誰にも相談できずにいたことを考えたら、可哀想なことをしたと思う」
「私がもっとしっかり者なら、よかったです」
そしたら、きっと杏美ちゃんは私に相談してくれたかもしれない。
指輪をした手を握ったまま、壱哉さんは言った。
「日奈子。尾鷹の社長になったら、結婚してほしい」
社長に―――それは遠い話ではない気がした。
壱哉さんは指輪の包みを開けて、そっと私の手をとると指輪をはめてくれた。
「社長の椅子を追われてから二人は尾鷹の家のことも会社のことも口出しできる立場にない。杏美の件もあって、会長である祖父に叱られ、二人は今、本宅に住むことができなくなった」
「会長は杏美ちゃんの結婚には反対だったんですね」
「そうだ。安島に嫁がせることを祖父母が反対していたのに両親は杏美に言い聞かせて、断れないようにしていたらしい」
「そんな」
「父は杏美が安島と結婚しなかったら、自分が社長でいられなくなるとわかっていたんだろうな」
壱哉さんは少し悲しい顔をしていた。
「杏美は誰にも相談できずにいたことを考えたら、可哀想なことをしたと思う」
「私がもっとしっかり者なら、よかったです」
そしたら、きっと杏美ちゃんは私に相談してくれたかもしれない。
指輪をした手を握ったまま、壱哉さんは言った。
「日奈子。尾鷹の社長になったら、結婚してほしい」
社長に―――それは遠い話ではない気がした。