優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「クマ、好きだろう?」
「はい」
覚えてくれていたんだと思って嬉しかった。
私が保育園児だった頃、杏美ちゃんの誕生会に招待された。
その時、お気に入りのテディベアを杏美ちゃんがふざけて庭の池に投げ入れたのだ。
それを壱哉さんが拾ってくれた―――あの頃からすでに壱哉さんは優しかったなぁ。
「壱哉さん。コーヒーでいいですか?」
壱哉さんは目を細めて微笑むと、黙ってうなずいた。
午前はお茶をいれたり、ファイルに書類を綴じたりする簡単な仕事で終わった。
「日奈子。お昼は?」
「お弁当です」
「そうか」
壱哉さんは宅配サービスのお弁当らしく、役員室にはそれぞれの好みのお弁当が届けられていた。
「お茶いれますね」
緑茶を入れて机に置いた。
「そうだ。壱哉さん、卵焼きが好きでしたよね。よかったら、どうぞ」
私のお弁当から卵焼きをあげると、壱城さんは口の端をあげた。
「おいしいですか?」
「ああ」
優しく笑う。
壱哉さんが卵焼きが好きだとわかったのは町内会の運動会で一緒にお弁当を食べた時だった。
壱哉さんと杏美ちゃんの両親は仕事が忙しくて、来れなくて、それを見た私の両親が二人を誘って一緒にお弁当を食べたんだよね。
「はい」
覚えてくれていたんだと思って嬉しかった。
私が保育園児だった頃、杏美ちゃんの誕生会に招待された。
その時、お気に入りのテディベアを杏美ちゃんがふざけて庭の池に投げ入れたのだ。
それを壱哉さんが拾ってくれた―――あの頃からすでに壱哉さんは優しかったなぁ。
「壱哉さん。コーヒーでいいですか?」
壱哉さんは目を細めて微笑むと、黙ってうなずいた。
午前はお茶をいれたり、ファイルに書類を綴じたりする簡単な仕事で終わった。
「日奈子。お昼は?」
「お弁当です」
「そうか」
壱哉さんは宅配サービスのお弁当らしく、役員室にはそれぞれの好みのお弁当が届けられていた。
「お茶いれますね」
緑茶を入れて机に置いた。
「そうだ。壱哉さん、卵焼きが好きでしたよね。よかったら、どうぞ」
私のお弁当から卵焼きをあげると、壱城さんは口の端をあげた。
「おいしいですか?」
「ああ」
優しく笑う。
壱哉さんが卵焼きが好きだとわかったのは町内会の運動会で一緒にお弁当を食べた時だった。
壱哉さんと杏美ちゃんの両親は仕事が忙しくて、来れなくて、それを見た私の両親が二人を誘って一緒にお弁当を食べたんだよね。