優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「それが人に頼む時の態度かな?そこの社長も一緒に頭を下げるんなら、いいよ」

「な!?」

「ふざけるな!俺が頭を下げるわけがないだろう」

「そうよ!渚生。友達として、助けたらどうなの?」

「友達じゃないしなー」

渚生は生意気にもそんなことを言ってきた。
頭を下げる?
冗談じゃないわ!

「渚生君。お願いします。助けてあげて」

迷わず、日奈子が深々と頭を下げていた。
それに渚生は慌てていた。

「日奈子ちゃんが頭を下げなくても」

「えっ!?で、でも?」

そうじゃないんだよー!と渚生が言っていたけど、日奈子はわかってないようだった。

「シェフには及ばないけど、試食分なら、私、作ります」

「俺も手伝おう」

壱哉は日奈子に材料を聞いていた。

「私達も日奈子さんを手伝いましょう」

「協力します!」

もう誰も私と安島社長を見てはいなかった―――
< 221 / 302 >

この作品をシェア

pagetop