優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第53話 新社長
社長となったその日、壱哉さんは遅く帰ってきた。
「ただいま、日奈子」
「おかえりなさい」
疲れていたみたいだったけれど、顔は笑っていたから安心した。
「時間も遅いけれど、話がある」
「はい」
真剣な顔をした壱哉さんはきっとこれからのことを話すんだろう。
尾鷹商事の社長として―――生きることを決めたのだ。
リビングのソファーに座り、壱哉さんが私の手を握った。
「聞いたと思うが。社長に就任した」
「……はい」
「結婚してほしい」
「えっ、あれっ!?」
そっちから?
てっきり真剣な顔をしていたから、これから大変になると思うけど的な話だと思っていた私はおかしな声を出してしまった。
「け、結婚ですか」
「わかってる。重責を負わせてしまうことも。けれど、日奈子には俺がいるから」
「いえっ!そ、そういうわけでは!って、責任ももちろんなんですけど」
わたわたしていると、壱哉さんが首をかしげた。
「他に大事なことが?」
「……い、いえ」
「ただいま、日奈子」
「おかえりなさい」
疲れていたみたいだったけれど、顔は笑っていたから安心した。
「時間も遅いけれど、話がある」
「はい」
真剣な顔をした壱哉さんはきっとこれからのことを話すんだろう。
尾鷹商事の社長として―――生きることを決めたのだ。
リビングのソファーに座り、壱哉さんが私の手を握った。
「聞いたと思うが。社長に就任した」
「……はい」
「結婚してほしい」
「えっ、あれっ!?」
そっちから?
てっきり真剣な顔をしていたから、これから大変になると思うけど的な話だと思っていた私はおかしな声を出してしまった。
「け、結婚ですか」
「わかってる。重責を負わせてしまうことも。けれど、日奈子には俺がいるから」
「いえっ!そ、そういうわけでは!って、責任ももちろんなんですけど」
わたわたしていると、壱哉さんが首をかしげた。
「他に大事なことが?」
「……い、いえ」