優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
番外編【壱哉】
若様の企み
尾鷹家は近隣一帯を治め、守る家柄だったという。
そのせいか尾鷹の若様などと未だに呼ばれている。
友達と呼べる人間もいない。
学芸会や発表会は当たり前のように主役で公平ではないと思っていた。
「王子様は壱哉がいいと思うわ」
またか―――正直うんざりした。
呑海水和子は母のお気に入りで、俺に対して親し気に振る舞う唯一の人間かもしれない。
だが、友人ではない。
「お姫様は水和子ちゃんにきまりね!」
「私、できるかしら?」
「水和子ちゃんしかできないわよ!」
クラスの女子は『そうよ』とうなずいていたが、呑海からの仕返しが怖いのもあるのだろう。
この間、他のクラスの女子がやってきて、俺にプリントを渡しただけで、嫌がらせをしたことを知っている。
呑海はピアノの発表会で同じ曲を弾いて恥をかかせ、クラス対抗のリレーで同じ順番で走ると、わざと遅く走り、最後に抜き、とどめはその女子が好きだと言われていた男子に呑海が目の前で告白するのを見せたとクラスの女子が噂をしているのを聞いた。
よくそこまで嫌がらせができるものだと思う。
そのせいか尾鷹の若様などと未だに呼ばれている。
友達と呼べる人間もいない。
学芸会や発表会は当たり前のように主役で公平ではないと思っていた。
「王子様は壱哉がいいと思うわ」
またか―――正直うんざりした。
呑海水和子は母のお気に入りで、俺に対して親し気に振る舞う唯一の人間かもしれない。
だが、友人ではない。
「お姫様は水和子ちゃんにきまりね!」
「私、できるかしら?」
「水和子ちゃんしかできないわよ!」
クラスの女子は『そうよ』とうなずいていたが、呑海からの仕返しが怖いのもあるのだろう。
この間、他のクラスの女子がやってきて、俺にプリントを渡しただけで、嫌がらせをしたことを知っている。
呑海はピアノの発表会で同じ曲を弾いて恥をかかせ、クラス対抗のリレーで同じ順番で走ると、わざと遅く走り、最後に抜き、とどめはその女子が好きだと言われていた男子に呑海が目の前で告白するのを見せたとクラスの女子が噂をしているのを聞いた。
よくそこまで嫌がらせができるものだと思う。