優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
なぜ、年齢を伏せたか。
同期であり、我々の特性により、伏せさせて頂いた。

「まあ、いいわ。私達が魔女と呼ばれるのは年齢不詳にしてその部署において女王のごとくトップに君臨しているからよ!」

ダンッと生ビールのジョッキを野々宮さんは置いた。

「そんなつもりは一切ございません」

「あんたになくてもこっちにはあるの」

そうですか、と思いながら冷酒を頂いた。
越乃寒梅の大吟醸は最高ですね。
そう思いながら、おろし生姜がのせられた焼き厚揚げを美味しく頂いた。

「寿退社していく同期とイケメン旦那を捕まえた受付の後輩達……。私と彼女らの違いは何かって考えたわけ!」

「野々宮さんには結婚願望がおありでしたか」

「あるねっ!すごくある!だからこそ、努力してきたのよ。見てよっ!週一でエステ、ジム、プールに柔道!」

最後になにか違和感のあるものが混じっていた気がしたけれど、黙って頷いて話を聞いてあげた。
私には結婚願望はない。
母が亡くなり、引き取られた父ではいい思いは一切せず、あんな思いを自分の子にはさせたくはなかった。
だから、私は結婚しない。
そう決めていた―――

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