優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「あ、ああ。まぁ……」
一人で飲んでいたのか、目立たない一番奥の隅の席に座っていたようだ。
「俺も一緒に飲んでいい?」
「お断りします」
「ちょっと!今園いいじゃない!」
絶対にイケメンよ?と野々宮さんが耳打ちしてきた。
この人は―――こんな怪しい男と思って、どこかで見たことがあるような気がした。
私の頭の中にある人物データファイルを検索してみた。
「もしや」
口の前に指をたて、その人は『黙っていて』と頼んできた。
騒ぎになっては困るので私も名前を言わなかったけれど、私が勤める尾鷹商事の会長のお孫さんである壱哉さんの親友にして人気俳優の野月渚生さんだった。
「年下ですよねぇー」
「そうだよ」
「なんて名前っ?」
「渚に生きるで、渚生」
「素敵な名前ですー」
すっかり野々宮は酔っぱらっていた。
だから注意したというのに。
それにしても何を考えているのか―――
しっかり年下だと答えるところを見ると私が尾鷹の秘書ということも理解してのことだろう。
すっかり野々宮さんは野月さんにほだされていた。
一人で飲んでいたのか、目立たない一番奥の隅の席に座っていたようだ。
「俺も一緒に飲んでいい?」
「お断りします」
「ちょっと!今園いいじゃない!」
絶対にイケメンよ?と野々宮さんが耳打ちしてきた。
この人は―――こんな怪しい男と思って、どこかで見たことがあるような気がした。
私の頭の中にある人物データファイルを検索してみた。
「もしや」
口の前に指をたて、その人は『黙っていて』と頼んできた。
騒ぎになっては困るので私も名前を言わなかったけれど、私が勤める尾鷹商事の会長のお孫さんである壱哉さんの親友にして人気俳優の野月渚生さんだった。
「年下ですよねぇー」
「そうだよ」
「なんて名前っ?」
「渚に生きるで、渚生」
「素敵な名前ですー」
すっかり野々宮は酔っぱらっていた。
だから注意したというのに。
それにしても何を考えているのか―――
しっかり年下だと答えるところを見ると私が尾鷹の秘書ということも理解してのことだろう。
すっかり野々宮さんは野月さんにほだされていた。